MAZDA

ロードスター開発者のコメント集







開発責任者   主査 貴島孝雄
初代ロードスターが誕生して8年がたちました。風や音、四季の香りを直接感じながら走る爽快感。絶対的なパワーだけでは味わえないクルマと一体になって走る喜び。
新型ロードスターはデビュー以来、多くのファンから熱烈な支持を受けてきました。お蔭様で現在、42万台ものロードスターが世界中で愛されています。
新型ロードスターの開発で私たちが目指したものは、オープン2シーター・ライトウエイトスポーツカーの魅力をさらに高めることによって、その楽しみをより多くのファンの方に提供することでした。
そこで私たちは、初代ロードスターが培った「Lots of Fun」をさらに高い次元で追求することに努めました。さらに、日常ユースでの実用性を向上するとともに、高い品質と安全性の実現を目指しました。私たちは、新型ロードスターによって、さらに高めたライトウエイトスポーツカーの楽しさを世界に提供したいと考えています。


商品性実研担当  山根 義昭
ノックコントロールシステムに関しては、ノッキング限界ぎりぎりの状態で点火タイミングをコントロールし、エンジンの性能を最大限発揮できるようにセッティングしているので、加速時のフィーリングの向上などを充分体感してもらえると思います。


エンジン実研担当 鮫島 睦郎
パワーアップのために、エンジン本体、吸気系、排気系を変更しています。コンパクトなエンジンルームに搭載するという制約の中で試作と手加工を何度も繰り返し、最大トルクと最大出力を大幅に向上しています。


エンジン実研担当 高田 直哉
ロードスターはオープンで走る楽しみを追求している車ですから、オープンで走っている時にガソリンの臭気を感じさせないようにエバポガスをなるべくエンジンに吸わせるシステムを採用しています。これは、バルブの精度やエンジン制御を向上させ実現したもので、環境に優しく、ガソリンの節約にも貢献しています。


エンジン制御システム設計担当  江角 圭太郎
燃料の噴射量でエンジンの音質が変わります。一般的に燃料が濃いほど湿ったこもったような音に、逆に薄いと乾いた抜けのよい音になります。新型ではエンジンの燃焼音にまでこだわり、乾いた音質となるように、燃料の噴射量を設定しています。


振動・騒音実研担当  坂本 道雄
若い人に好まれるMT車と女性や年配の方に好まれるAT車とで、排気音の作り分けを行いました。MT車には心地よさを音色で提供する排気系を設定し、AT車には静粛性に優れる排気系を設定しました。


振動・騒音実研担当  渡辺 雅哉
車体剛性を上げるには一般的に骨格材を大型化したり厚くしたりしますが、車体重量が増加しライトウエイトスポーツとしての醍醐味が失われてしまいます。そこで、重要な個所(センタートンネル周りやサイドシル等)を重点的に補強し、剛性に関係ない個所の贅肉を削ぎ落とすことで軽量化を図りました。その結果、高剛性かつ軽量なボディが実現でき、スポーツ走行時の操る楽しさとクルージング時の快適性が初代に比べ大幅に向上しています。


排気系設計担当  田中 哲洋
触媒(キャタリストコンバータ)の形状を初代のオーバル型から信頼性の高いラウンド型に変更し、ガスの流れの改善による触媒の有効利用を行って、排気ガス規制をクリアしました。同時に大幅な重量低減も行っています。


信頼性実研担当  横山 勝一
24時間体制で数万キロ走行しながら何か問題がないか日夜チェックしています。そこで、成熟されたボディ剛性の高さや耐久信頼性は初代より数段高いレベルに仕上がっています。


開発推進担当  山口 宗則
「操る楽しさ」を実現する最も重要な要素がパッケージングであり、それこそがライトウエイトスポーツカーの資質を左右すると考えました。コンパクトなボディサイズと車との一体感を生み出す適度にタイトな室内空間の実現。前後の荷量バランスが良好で、かつコントロールする楽しみが大きいフロントミッドシップのFR方式の採用で、重量物を車体の中心に寄せて配置することにより、優れたヨー慣性モーメント50:50の重量配分を可能にしました。


強度実研担当  田中 昭利
正面衝突性能を向上させるため、フロントサスクロスメンバーの取付部が正面衝突時にスライドする構造にしました。サスペンションは、初代よりトレッドを拡大していますので、一見同じように見えるサスペンションでもサスペンション入力が大幅に増加しているため、それに対応するため細かい変更をしています。


シャシー設計担当  熊田 拡佳
初代同様、サスペンション形式は4輪ダブルウイッシュボーンを採用しました。初代に比べ、ダイナミックな操安性領域において、回頭性(舵の効き)の向上、ダイレクト感、応答のリニアリティの向上、ロール速度の低減などを行い、更に乗り心地も向上しています。


駆動系実研担当  広兼 裕
人馬一体のドライビングにとってトルセンTYPEーB改デフは非常に重要です。今回のトルセンにより、ドライ路面での限界走行時のコントロール性と低μ路(ウエット路や雪上)での扱い易さの両立を実現しています。このトレセンにより、ドリフトコントロールの楽しさをまた1つ増やしました。


電子部品設計担当  尾中 徹
ABSが確実に作動するように常にABSシステムの状態をモニターし、故障が発生していれば安全な状態に切り替え、ドライバーにも警告ランプの点滅で、それを知らせる機能を育成しています。これからも、ドライバーの方が安心して乗れる、「縁の下の力持ち」になりたいとおもっています。


デザイン副主査  林 浩一
旧型のイメージを継承しながらモダンナイズしていくのは、ひとつの車の歴史を作る上で大切なことです。新型では名実共に世界の名車であった初代のモチーフを上手く継承しながら、我々が最も大切にする「スポーツカードラビングの心の昂ぶり」を内側からダイナミックに表現し、クルマ選びが多様化した現代において、誰もがこの車の持つドライビングの本質的な悦びを強く意識するようなアグレッシブなデザインを目指しました。印象は御無しでも、実は全てが新しいデザインとなるように細部まで作り込みがされた、ロードスターの進化にふさわしいデザインができたと思います。


エクステリアデザイン担当  平田 滋男
パッと見た感じでは、初代ロードスターと同じように見えますが、実際によく見ると全部違います。これは、一つのモデルの歴史を作っていく上で、非常に重要なことだと思います。ロードスターが本当に好きな人、ロードスターを大切にしている人等、見る人が見ると違いがよく分かる、つまり知っている人じゃないとわからないというところに最終目標をおきデザインしました。


インテリアデザイン担当  中村 文彦
普通の車と違う点は、オープンカーのため外から見えるインテリアという観点でデザインしました。具体的には、インパネ上面の造形は、エクステリアと整合性がとれ、外から見ても主張のインテリアが慣性したと思っています。


パワートレイン開発推進担当  大楽 芳昭
エンジンは2種類あります。
1.8Lの方は、旧型のロードスターに対し高回転域の伸びを追求させる方向で進化させています。 1.8LDOHC可変吸気システムや高速の採用などで、レッドゾーンを400回転UP、伸びのあるエンジンフィールを実現しました。ノックコントロールシステムの採用や、圧縮比アップなど細部にわたってチューニングを行い、また、スロットルレスポンスも大幅に向上しています。 1.6Lの方は、やや低速側の部分に対して乗り味を出す設定をしています。


エンジン実研担当  幸徳 正信
1.8L1.6Lどちらのエンジンも排気抵抗を30%低減させることにトライアルしました。4−2−1の排気マニホールドを採用。各気筒の排気を利用して効率化とパワーアップに寄与しています。今回のロードスターは吸気の位置を変えることで吸気温度を初代モデルより約10度下げることに成功し、出力の向上に貢献しています。また、ファンから回った時にエンジンルーム内の空気がこもらないように、ファンの形状と風の流れの回転を変えました。


シャシー実験担当  小田 昌司
レーシングカーのように早く走らせることを目的としていないので、車の性能の限界は現行モデルとほぼ同じに仕上がっていますが、この限界の中でより楽しくすることをコンセプトに、全体の見直しを図りました。


電子実研担当  手島 良裕
ロードスターはオープンカーなので、走る時に聞こえてくる風の音やロードノイズ等に負けないサウンドづくりをするため、重低音の再生にこだわってシステムを構成しました。重低音を再生させるためには、いかに大口径のスピーカーを納めるかにあります。大きさは8インチと非常に大きいながらも、磁石に新素材を利用し部品の位置を変えるなどして、薄く、軽く仕上げるころができ、1mmも無駄のない車のドアの中に取り付けることに成功しました。


ボディ設計担当  柴田 昭雄
軽量化はボディ剛性を高める上で大きなマイナス要因となります。しかし、新型ロードスターは「MAGMA」という全方向衝撃吸収ボディを採用し、乗員及び室内への衝撃を少なくしています。1998年から施行される、日本及び欧州の新衝突安全基準に適合するとともに側面からの衝撃にはドアとボディのラップ面積の拡大と2本のサイドインパクトバーによって、室内へのドアの侵入を最小限に抑えています。


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